新“シェイクスピア・アラカルト”青少年バージョン


 
シェイクスピア全37作品から、観劇してもらう観客の年齢層や好みに合わせ、
あるいはリクエストにお応えする形で数作品を選び出し、
そのクライマックスシーンや名場面を連続してご覧いただくといった内容になっています。
それもただ単に羅列するのではなく、全作品を貫くテーマを横断的に捉え直し、
よりダイナミックに感じ取ってもらいたいといった企画です。
「アラカルト」という命名どおり、「美味しいとこ取り」という訳です。

 
 

また〜目の前の人を大切に〜といったことをスローガンにしています。
いまこの瞬間自分の目の前にいてくれる人を大切にすることなしに、
多くの人への思いやりなどありえない、
だからこそまずは身近な人を大切にしてほしい、という願いがこめられています。
その意味で、上演形態もDuo(二人芝居)となっています。


 

来る11/29の東調布中学での上演作品は、上演順に、
マクベス」「ヴェニスの商人」「じゃじゃ馬ならし」「ロミオとジュリエット」「ぺリクリーズ」の5作品です。
(昨年の一橋大学での上演では「ロミオとジュリエット」はなく、「ハムレット」が加わっています)
はじめの4作品では、いろいろな男女の愛のあり方を、年齢をさかのぼる形で(つまり大人の愛→初恋)、
ときにシリアスに、ときにコミカルに、そしてロマンチックに、プランニングしています。
そして最後の「ペリクリーズ」では、
過酷な運命に翻弄された父と娘の奇跡的な再会のシーンをご披露します。


 
この青少年バージョンでは、
思春期の子どもたちに恋愛のすばらしさを感じてもらいたい、
と同時に、真剣に異性を愛してもらいたい、はじめの4作品にはそんな願いがこめられています。
さらに、素敵な恋愛の後結婚し子どもを授かる、男女の愛が家族の情愛へと昇華していく、
そんな人生の大切な軌跡を子どもたちに感じ取ってほしいと、
最後に「ペリクリーズ」をもってきました。


 
上演時間は、1時間20分です。
 

 
はじめのプロローグと四大悲劇のひとつ「マクベス」で25分、
いきなりシェイクスピアの劇的世界に子どもたちを案内した後、
休憩効果のある愉快な「ヴェニスの商人」があり、
とても身近な喜劇「じゃじゃ馬ならし」が続き、
純愛「ロミオとジュリエット」が終わる約1時間経過の時点であえて一度幕にします。
終わった感じ。子どもたちに一息入れてもらうためです。
そのあとアンコールという形で、家族愛を描いた「ペリクリーズ」の上演という流れです。
そのほかに、「お気に召すまま」「夏の夜の夢」などの台詞もちりばめてあります。



延べ1時間20分。
この流れなら、中学1年生でも十分集中力は持続するのではないかと考えています。
(10数年「子どものためのシェイクスピアカンパニー」で子どもたちの前で演じてきた勘ですが)
マクベス」以外の4作品はそれぞれ約10分前後です。
ロミオとジュリエット」が15分くらいかな。
それにプロローグとエピローグなどを加えて1時間20分となる予定です。
上演後は、アフタートークも予定しています。


 
また、とくに大掛かりな装置などは用いません。
基本的には、椅子ひとつです。
人がそこにいる、ただそれだけでとても意味のある尊いこと、
そういった意味がこめられています。
   
    
    
幼き頃の読み聞かせ。
温かいママの胸、頼もしいパパの膝の上。
愛されていることを小さな背中で実感した幼心が、
想像力の翼を思いっきり羽ばたかせて物語にのめりこんだ。
何もない空間で紡ぎだされる私たちの作品が、
あの頃の安心感と躍動感を思い出すきっかけになれば、本当に幸せです。


2013年秋
アカデミック・シェイクスピア・カンパニー(ASC)代表  彩乃木崇之