若さの脆さ。

「ペリクリーズ」リハーサル、2週間休みなしで今日まで来た。明日15日(もう今日か)は、OFF。その前に初めての通し稽古をやりたいとはみんなの意見。そう、今回のリハーサルは、その日の稽古シーンなども含め全日程が出演者の希望で組まれている。というより、出演者が決めている。で、今日通し稽古の前に、ある新ルールにのっとった稽古をやる。うまくいったようないかないような結果となったものの収穫はあった。今回のリハーサルでは、さまざまなルールを随時追加して行っている。そのたびごとに収穫はかなりあったのだ。
がしかし、肝心の通し稽古でほぼ全員が崩れてしまった。なぜか、起因はこれまでのルールを全部取っ払ったかららしい。つまり自由になった。自由になって飛べると思ったが、みんな恐怖で身を硬くしてしまった。自由は怖い? ここ1週間、見違えるようにメンバーをリードしていた秋山や、ムードメーカーの福岡くんまでがまったく精彩を欠く。人が違うかと思えるほどの臆病さ。まるで雨に濡れる小動物のようだ。
その中での日野の大健闘に感動した。全員がばらばらになり遭難している中、何とかシェイクスピア「ペリクリーズ」という命綱を一人握り締め、果敢に救助にでも向かうかのような彼女の活躍に今日は脱帽。日野の演技の中にだけドラマが見えた。通し稽古は最終的には僕が止め最終幕までいかなかったが、それまで日野は一度も決してあきらめなかった。
敗北感漂う休憩中、全員が大の字になって無言。その胸中を一人ずつ聞く。「悔しい」「空回りした」などの呟きが聞こえてくる中、日野は「失恋」と一言。よくわかる。が、日野にとっては大きな自信となった稽古でもあったことは確か。根が甘ったれの彼女がここまでの粘りを見せたのは初めてだ。嬉しかった。
 
ASCの公式サイトのトップページを先日リニューアル、新コンテンツ「Education」(演劇教育)も追加。今回の「ペリクリーズ」でも子どもたちとの関係をかなり考えながらリハーサルを続けている。
今回の若手中心の座組みは、僕が意図したもの。彼らの両親はたぶん僕とほぼ同世代のはず(僕の兄貴や姉さんといったくらいかな)。子どもたちに伝える何かを、まずは息子や娘といってもおかしくはない彼らに伝えたい。粘り強く深く決してあきらめず、人と関係することを考えてもらいたい。
OFFの前に、いい稽古となった。明日は1日ゆっくり考えられる。
 
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「ペリクリーズ」http://homepage2.nifty.com/asc_web/no39_pericles_maeuri.html