子どもに向かうと動きが出る。


  
シェイクスピア Duo オンデマンド”、
現時点では「じゃじゃ馬ならし」があがっている。
これから演目は増えていく予定。
候補作品はいくつかあがっている、と
公演リーダーの日野から連絡を受けた。
企画コンセプト『目の前の人を大切に』に基づき、
各作品ごとの上演コンセプトも発表したほうがいい。
日野に指示、僕も考えてみる。
 
たとえば、「ロミオとジュリエット」。
これは日野からの候補作品の中にはなかったが、
まず思いついたので勝手に僕が考えてみた。
なので、上演の可能性は限りなく低いです。
が、大好きな「ロミオとジュリエット」、
シェイクスピア Duo オンデマンド”と「Education」、
二つのコンセプトを結び付けるには最適な作品のひとつだと思っている。
どう日野?
 
それはともかく、上演コンセプトについて。
まず思いついたのが、
 
「幼き純愛。大人の責任」
 
あまりにもそのまま、面白くない。
大人の理屈って感じ。大人目線。子どもたちには絶対ピンと来ない。
というか、分からない。
じゃ、子どもたちに向けるには、どんなのがいい?
こんなのどうだ、
 
「僕たちの愛、大人に届け!」
  
お、こっちのほうがはるかにいい。
ついでに、
ほかの作品についても思いつくまま考えてみた。
上演が決まっている「じゃじゃ馬ならし」も含めて。
たとえば、
 
じゃじゃ馬ならし」・・・愛をとめないで。愛は止まらない。
マクベス」・・・熱烈な愛。許されぬ愛。
「オセロー」・・・愛は陽炎。
 
「愛」を共通ワードとしてみた。
この3作品は、それぞれ異なる愛の形だと思ったからだ。
少なくともASCではそうとらえて上演してきた。
男女の愛(夫婦愛)と演劇教育は、僕の中でとてもリンクしている。
 
う〜ん、でもやっぱりイマイチ、大人目線だ。
じゃじゃ馬ならし」のものは、悪くはないけど否定形だし。
肯定形でストレートにいきたい。
で、もう一度子どもに向けてみる。
 
じゃじゃ馬ならし」・・・愛はまっしぐら!
マクベス」・・・愛があっても、悪いことはダメ。
「オセロー」・・・信じることをあきらめないで。
 
 
こっちのほうがいい。
オモシロイ、なぜ変わる?
 
「5歳の子にも分かるように話してくれ。」
と、元RSCの俳優・演出家のジェラルド・マーフィは、よく僕たちに言った。
グローブ座カンパニーで、3度も演出をしてもらったとき。
(「ヴェニスの商人」を2回、「お気に召すまま」1回)
先の彼の言葉は、自分の役をどのように考えて演じているか、
その説明を僕らに要求してくるときの決まり文句だった。
もちろん、とても優しく。
深い。
 
ところで、
作品それぞれに対する上の僕の言葉、
「大人思考」と「子ども志向」だ。
大人思考は、名詞的または形容詞的だ。説明的。
子ども志向は、動詞的。
動きが出る。
 
動きは変化、未来を感じさせる。
先がある。
 
子どもたちのことを考えるとき、
大人は必然的に自動的に無条件に、未来を考えている。
大人思考は、止まりがち、停滞気味となる。保身、防衛本能か。
 
「For the future,for the children.」
(子どもたちの未来は、私たちの未来。)
これは、埼玉県小児科医療センターの理念。
ASCも大いに共感。
http://homepage2.nifty.com/asc_web/education/index.html
(公式サイト「Education」)
 
子供たちのことを考えるだけで、
私たち大人は、未来を感じることができる。
未来は、生きる希望につながる。
すごいな、子どもたちは。
いながらにして大人をポジティブにしている。
 
こんなことを、昨日
地元川崎の等々力市民プールに子ども3人と行ったあと、
浮き輪などの片付け物をしながら、ふと徒然に思った。
 
夏休みの日曜日とあってか、
市民プールは家族連れでとても混んでいた。
賑やかだった。
楽しかった。
確かに、未来への希望に満ちていたと言える。
子どもたちの歓喜の声は、ストレートに心地いい。
照りつける夏の日差しに、子どもたちは輝いていた。
幸せ。
 
★★★★★★★
 
おっと、ちょっと待て、
「今日はお盆の最終日、終戦記念日ではないか」
と、浮き輪の空気を抜き終わった瞬間、いきなり思い出した。不覚。
水に入ってはいけないと教えられたお盆、
65年前の今日、愛する人を失い無念の涙を流した我らが祖先。
浮かれてていいのか、現代日本人。
賑やかでいいのか、オレ。
 
夜、7歳の長女と「火垂るの墓」を見る。
もちろんジブリアニメ、DVD。
5歳長男と2歳次女は寝ていた。
見終わったあと、布団の中で長女は涙ぐんでいた。
「どうした?」と僕。
「かわいそう・・・」と娘。
妻と一緒に娘をサンドイッチに抱きしめた。
 
平和に感謝。
賑やかすぎる終戦記念日に、
心から感謝。
 
※写真は、
サクマ式ドロップス復刻版。
説明不要ですね。