演出コメントです!(チラシ掲載)

アカデミック・シェイクスピア・カンパニー(ASC)第38回公演
遊空間がざびぃ演劇祭“がざびぃ芝居月2009”「それぞれのシェイクスピア」参加作品
ヴェニスの商人 〜 肉はきれないよ。〜
 
裁判員制度の予行演習にぜひ!
アカデミック・シェイクスピア・カンパニー(ASC)代表 彩乃木崇之
  
【特別な客席と劇的臨場感】
今回、客席がちょっと面白いです。
演技エリア=ステージを客席がグルっと360°取り囲んでいます。そうかといって完全な円形ではありません。
そしてさらに、俳優は演技エリアと客席とをあまり区別しません。つまり双方を自由に行き来します。どういうことかというと、観客であるあなたの隣にたとえばシャイロックが座って、目の前のポーシャと会話するかもしれません。またはその逆も。
シャイロックが隣に来たとき、ポーシャの瞳には目の前のあなたがシャイロックと同じ狡猾なユダヤ人仲間と映るかもしれません。また逆の場合、ポーシャの友人となり敬虔なキリスト教徒となり、シャイロックから憎まれる存在となるかもしれません。
いずれにしろあなたは、あなたの意志に関係なく、いろいろな立場に立たされてしまうことになるでしょう。それぞれの立場の当事者となってしまったような、奇妙な錯覚を覚えるでしょう。
『劇的臨場感。』今回の見どころです。
また日本人の多くは、諸外国に比べ実際に法廷に立つ機会はさほどないでしょう。「ヴェニスの商人」第4幕・法廷の場、有名なこの仮想現実でぜひリアルシュミレーションを。貴重な体験ですよ。近い将来きっと役に立ちます、裁判員
  
【“ニューフィクション”メソッド】
あ、それから、もうひとつの見どころについて。
今回のお芝居は、ちょい新しい方法論でもって創ってみました。名称は“ニューフィクション”メソッド、ASCが考案。劇的臨場感を醸し出すのに、隠し味的にピリッと効いているはず。メソッドの詳細は公式サイトにて。
  
【真実、悪。正義、偽善。】inおとぎ話
僕は、ジェシカとラーンスロットが大好き。彼らは、迷う。迷うことにこそ、真実も正義もある気がします。
それからこの作品、ストーリー展開はかなりおとぎ話。喜劇として演出したい。
やっぱり肉はきれないよなぁ。
 
(あやのぎたかゆき)