俳優が越えた!

今日も素敵な発見がたくさんあった日だった。まだ「立ち読み」稽古(ま、ほとんどいきなりの立ち稽古)に入って3日目だというのに収穫が実に多い。今日の特筆は、沢海陽子さんと日野聡子がすばらしい瞬間を披露してくれたこと。俳優の衝動と意志が演出的仕掛けを越えた。
稽古では360度の客席以外まだ演出的な要素をほとんど仕掛けていない。僕の頭の中では演出的な仕掛けはいくつかあるのだが、まだみんなには伝えていない。危険だから、そう思っていた。俳優の創造を阻害しそうだから。
 
そして今日、沢海陽子さんと日野聡子が見事にそのことを証明してくれた。演出的仕掛けがないほうが、俳優は自分の感性を活性化させる。あらかじめ用意された演出的なものより、その瞬間生まれた俳優の衝動と意志の表出の方がはるかにドキドキする。
 
どんなに強烈なキャラクターを俳優その人が持っていたとしても、そのキャラに合わせて役を創ろうとするとき、それは過去にこだわることと同じだ。キャラは、過去だ。すでにあるもの。
創造力に自信がないとき、キャラのみで勝負したくなる。それはキャラに振り回されることにもなる。キャラに自分を当て込むと、リアルタイムな自分の感性が可愛そうだ。
 
すべてのこだわりをなくしたとき、初めて自分だけの感性が生きてくる、脈動する。
 
脳みそをとてもシャッフルできた日だった。
稽古場のみんなに、今日も感謝。
ありがとう!