投げかけて、そばで見守る。

  
教育とは、
子どもたちに大人が人生を投げかけ、
そのあとはそばで見守ること、それに尽きる。
 
答えを伝える必要はない。
その答え自体、大人の思い込みかもしれない。
  
そばにいていざというとき守ってやる。
がそれができないから、
子どもが自分なりの答えを見つける前に
大人は自分の正解を子どもたちに押し付けたがる。
 
公園の安全遊具に似てる。
大人が昼間子どもたちと一緒に公園で遊んでやれないから、
子どもたちだけで遊んでも危険がないように、
公園の遊具がプラスチック製の柔らかいものにどんどん変わる。
落ちても大怪我にならないよう、地面さえクッション材入りの人工地面だ。
怪我はないかもしれないが、
「怪我するかも」という察知能力は衰え、子どもたちは考えなくなる。
 
人生を
人としてあたりまえのことを
考えるきっかけを投げかけるだけでいい。
あとは大人がそばにいるだけで、子どもは落ち着いて考えていける。
 
ほっとけばつい説教は口をついて出てくる。
その「説教」をとりあえず「投げかけ」とするとして、
あとは、どのくらいその子どものそばにいてやれるかどうかが大事だ。
 
そばにいるだけで、子どもは喜ぶ。
演劇に例えるなら、
こんなに理想的な観客はいない。
そばにいるだけで感動してくれるんだから。
 
★★★★★★★
   
今日は、平塚市立神明中学校演劇部での
文化庁「子どものための優れた舞台芸術体験事業」の3日間の最終日だった。
http://d.hatena.ne.jp/ayanogi/20110115
詳しい報告は後日として、上記が今日一番強く実感したこと。
 
素敵な中学生だった。
顧問の先生方も実にステキ。
それに見合う働きができたか。
自分自身では消化不良だ。
もっとできた、おそらく。
プランニングとシミュレーションが甘かったのか?
そうでもない。
物理的時間の問題か。
それは言えるが、全部ではない。
 
もう一度、3月の上旬ころ、行くことになった。
みんなの自主公演本番は、3月中旬から下旬の予定とのこと。
その前にもう一度僕はいく。
これは文化庁の仕事ではない、ASCの無料演劇ワークショップとしてだ。
http://homepage2.nifty.com/asc_web/education/workshop.html
が内容は、今回の文化庁の仕事の仕上げだ。
 
僕の仕事の締めくくり・総仕上げに対し、
チャンスをくださった神明中学顧問のお二人の先生方に、
心から感謝したい。
ありがとうございます。
  
みんな、また会おう。
 
※助手の日野も、この件をブログであげたようです。
以下、日野ブログより。
 
2011.01.27
神明中学演劇部の皆から学んだこと
 
1月15日・16日・22日、平塚市立神明中学校の演劇部に、文化庁「子どものための優れた舞台芸術体験事業」で、講師彩乃木さんの助手として行ってきた。
(彩乃木さんの報告日記:http://d.hatena.ne.jp/ayanogi/20110115/p1
http://d.hatena.ne.jp/ayanogi/20110122/p1
内容は、演劇部の皆が3月下旬に自主公演するという『ベッカンコおに』を使ってのワークショップ。
最近、「大人が楽しめる芝居」という考え方ではなく、「子どもが楽しめるなら大人も楽しいはずよ」と師匠に学びながら自分のレッスンも取り組んでいる。
そんな中で、子どもと大人の狭間、人を思いやるということは具体的にどうすることなのか、自分の意志って何か、そんなことを食べるように考えている年頃だと思う、中学生。
そのど真ん中に入ってきました。
文字通り、彼らと一緒に稽古をしてみる。
 
まず、この『ベッカンコおに』という作品、初めて読んで、泣いた。
ラストのシーンなんか、読むたびに涙が出る。
短い作品だが、深くて、痛くて、熱くて、悲しくて、温かくて。
この作品を、演劇部の自分たちで選んだとのこと、とても驚いてしまった。
こんなに良い作品を、見つめる力を、選びとる力を、もうしっかりと持っている。
 
さて、演劇部の皆。
ものすっごく素直。まっすぐ。
だから、彩乃木さんの言葉をなんの障壁もなく聞くから、早い。
吸収して、且つ、すぐに自分の栄養として消化するので、あっというまに次のステージに上がってしまう。
もう、私、驚愕とともに、自分を省みて落ち込んでしまった。
なんと私には邪魔の多いことか。
ジャマジャマは自分で作ってるんだけど。
まっすぐな皆は、全員本当に綺麗。
 
だからこそ、皆の中に入ったときは、更に更にまっすぐまっすぐと心掛けた。
やることを、やる。それを、もっと、やる。
量を多くするのではなくて、収斂していく。
そうすると、楽しい。
楽しいことは、伝播する。
 
また、舞台の外で皆を見ているよりも、やはりその中に入ると、たくさんの彩りが交錯しているのを肌で感じる。
わかんなかったり、もどかしかったりする気持ち。
それを、「こっちこっちー」と皆で遊びながら、伝える。
嘘はつかないこと。ごまかさないこと。これはとても大事。
ごまかすって、いつのまにかやってしまっている、むつかしいところ。
よっくわかる。
私なんか、そことの闘いばっかりかも…。
だからこそ何度も言うが、中学生たちのあの飲み込みの早さ。
欲しいものが明確だからだと思う。
私の欲しいものは何か。
強烈に欲しいもの。
 
今も色んなことを考えさせられているのです。
ありがとうございます。
そして、3月に入ったら、もう一度行けることになりました。
それまでに、皆に負けてらんない。
私には余計なものがいっぱいくっついてるから、重くて鈍い。
もっと軽やかになるにはどうしたらいいか。
今までは、これまでと別の方向は何かというアプローチをしたりしたけど、それでも失敗することがある。
だったら、そもそも見上げている頂上が、間違っているんじゃないか。
真実欲しいものは何。
神明中学演劇部の皆が教えてくれたもの。