報告:文化庁「子どものための優れた舞台芸術体験事業」を派遣芸術家として実施。横浜市立大正小学校にて。

2010年9月13日(月)〜9月16日(木)10:45〜12:15。
5年生と6年生約140名を対象。
各学年2クラス計4クラス、1クラス34名〜39名。
毎日1クラスずつ。
終了後、そのクラスで給食を一緒に食べた。
講師は、彩乃木崇之鈴木麻矢
備考:文化庁事業は最大3日間のため、最終日はASC提案の無料演劇ワークショップとして実施。内容は4日間基本的に同じ。
http://d.hatena.ne.jp/ayanogi/searchdiary?word=%2A%5B%CC%B5%CE%C1%B1%E9%B7%E0%A5%EF%A1%BC%A5%AF%A5%B7%A5%E7%A5%C3%A5%D7%5D

今回最も強く感じたこと、
やはり子どもたちは、日本全国どこにいっても
抜群にすばらしい存在だ。
健気で、眩しい!
そして、日本の社会で
その生命力あふれる子どもたちがおかしくなっているとすれば、
われわれ大人の責任であることは紛れもない事実。
これはごまかしようがない。
 
4日間連続で、同時間帯にほぼ同様のメニューでの実施。
にもかかわらず、
なんという印象の違い、
手ごたえの違い、
子どもたちの目の輝き方の違い、
それゆえの僕の達成感や充実感の違い。
   
講師である僕の生命力が、その日の「気」が、
すべて反映した。
手応えの強かった日と弱かった日が交互に来た。
幸い最終日がもっとも充実感あり。
いい形で終えられたことは僕にとってラッキーだったが、
そうじゃなかった日の子どもたちに対して、申し訳ない。
  
ある子どもの言葉に感動した。
ワークショップの最中、自由にグループに分かれてもいいとき、
うまく友達とコミュニケーションがとれない子が、
どこのグループにもうまく参加できず孤立する。
その子に話しかける。
実際はああでもないこうでもないがもう少しあったが、
ようはこんな感じ、 
 
「あそこのグループにいこうか?」
「やだ・・・」
「じゃ、横で見てるかい?」
(僕は「うん」という返事を予想していた。その後どう説得するかを考えていた。ところが、)
「それもいやだ。」
 
「それもいやだ。」
「見ているだけはいやだ。」
「友達と一緒にやりたい。」
「かかわりたい。」
 
僕にはそう聞こえた。
そんな答えが返ってくるとは思えなかった自分が恥ずかしい。
違うクラスでも同じことがあった。
「見ているのはいやだ。」
嬉しかった。 
そしてそんな子の方が、その後楽しんでいたように思う。
大いに教わった。
  
私事で恐縮だが、
この4日間の僕の一日の流れは、
朝キッズガード、
http://d.hatena.ne.jp/ayanogi/20100714
車で高速を約40分、大正小学校へ。
ちょうど中休み前の10:00すぎに到着、
中休み10:20〜10:45の間、
1日目と2日目は校長先生や副校長先生とお話、
3日目と4日目は校庭でドッジボールやサッカーを子どもたちと。
そしてワークショップ本番。
その後一緒に給食、13:00まで。
帰路の車中、鈴木麻矢と本日の反省と明日のことを話しながら帰宅。
2歳の次女の迎え、年長組の長男の迎え、下校のキッズガード。
妻である鈴木麻矢は、その後夕方から近くの高校ダンス部の指導へ。
その間僕は3人の子どもたちの入浴、晩御飯。
19:00過ぎに鈴木麻矢が帰宅。
家族の時間を楽しんだあと、
子どもたちは就寝。つい一緒に寝てしまう僕。
妻は家事を終え就寝しようとするころ、僕が起きだす。
ワークショップの反省や今後のためのデータをノートにまとめる。
明日のための最終チェック。
就寝。
 
幸せな4日間。
一日が全部「Education」演劇教育活動とリンクしていた。
http://homepage2.nifty.com/asc_web/education/index.html
また夫婦が同時に、あるいはバトンタッチしながら
同じ目的で、同じ場所あるいはそれぞれの持ち場で
協力できたことがとても嬉しい。
鈴木麻矢とこんな風に阿吽の呼吸でタッグを組めたのは、
創立間もない1997年「リア王」以来か。
  
登下校のキッズガードもこの4日間はいつもと違っていた。
結構強い雨も降った。緊張感のある週。
この場面でも、大きな収穫があった。
僕にとっての発見、実感、
   
「子どもたちは、ちゃんと話せばきちんとわかってくれる。」
  
子どもにわかるように話すことができてこそ、
理念は初めて意味をなす。
教育者ならあたりまえの前提、
恥ずかしながら今になってやっと実感できました。
今回伝えたいと思ったこと、
   
「やりたい、かかわりたいと強く思う気持ちの大切さ。」
「わがままだけではそれができなくなること。ではどうすればいい?」
「やるためには、ちょっとの勇気、ちょっとの頑張り、そして責任が必要なこと。その実感。」
 
伝えるために心がけることは、
まず大人の僕の心が落ち着いていること。
僕自身が喜びを持って生きていること。
子どもたちとのかかわりが、嬉しい。
 
「子どもは、大人の鏡。」
 
★★★★★★
  
帰り際のある出来事。
 
5年生のある女の子、
給食が終わって校長室に向うとき、ついてきた。
校長室到着、校長先生がいなかったので待っている間しばし談笑。
なついて膝の上に座ってくる。
もう5年生だろ?! おりなさい、あとで抱っこしてあげるから。
 
「パパがヤキモチ焼くぞ。パパにもそんなに甘えるのか?」
「ううん。」と首を振る。
「お父さんはどんな人?」
「こわい、帰ってきてもすぐ怒るし。」
校長先生登場。
「じゃあ、またな。」
「抱っこは?」
抱き上げハグする。「しょうがないなぁ」と微笑む校長先生。
バイバイ。
 
校長先生「あの子は甘えっ子で。お父さんがいないんです。」
 
おっと、やるなぁ。やられたなぁ。
頑張ってるなぁ。
オレも負けないで頑張ろう!
 
※写真は、ちょうど1年前の同事業・同小学校でのダンスワークショップ終了後の講師鈴木麻矢
そのときの5年生が今回の6年生として参加。
みんな大きくなった〜、と驚きの鈴木麻矢
実はこれ、全体の記念写真。鈴木の周りにはみんなの屈託のない笑顔がたくさんある。
こんなご時世だから掲載は控えた。
全くどうなってるんだ、現代社会は。大人たちは。それこそが問題だ。
が、嘆いていても始まらない、
大事なものは守らねば。