課題満載。

「ペリクリーズ」、おかげさまで無事千秋楽を迎えました。ありがとうございました。
 
「すべては俳優の意志」を根本スローガンとし、「すべてはOK」「絶対に否定しない」を合言葉に、「どこまで深く思考できるか」にリハーサル期間・時間の大半を費やし(知恵熱や貧血が多数発症)、自分のやりたい役かつ自分にできる役を自己決定するセルフキャスティング、また登場人物すべてをオール5歳児で演じる“ニューフィクション”メソッドのエクササイズの実施、正式な上演台本があがったのは稽古最終日2日前(それまではあえて原作そのままで稽古をする)、文字通り寝食を忘れカップラーメン主食の貫徹連夜の3泊4日強化合宿(忘:寝食は強制ではありません、彼らの意思です、念のため)、最終キャスティングが決定したのは初日前日などなど、柔軟な発想と思い切りの良さが武器の若手を中心に、演劇教育をコンセプトとし、とにかくこれまでとは違う切り口・方法論でと、あえて迷い道にも進んで入り込むかのような稽古を続けてまいりました。配役に関しても、「演目&配役は当日観客のリクエストで決定」とチラシで謳ったASCの理想に少しでも近づきたく全役に全員が挑戦、僕の役も含め配役はすべて稽古期間中(後半の10日間くらい)に自然発生的に決まっていきました(最後まで未定だった役が初日前日に決定)。
 
以上のようなちょっと風変わりな過程の後、本番でごらんいただいたようなお芝居と相成ったしだいです。正直、いいような悪いような。。。
 
稽古の過程ではこれまでにない大発見も多数あり、若手の可能性に感動させられること数多し。が、その発見や可能性が直接本番の舞台にすべて反映されていたかどうか、う〜ん少々疑問がのこります。
とにかく彼らは、忘れん坊なのです。唯一無二の自分の感性、そこから生まれた独自のアイデアさえも、そのすばらしさや誇りを忘れてしまう。もったいないことこの上ない。
 
若者は、目の前のやらなければいけない多くの雑務や方法論に目を奪われ、生きること本来の目的を忘れやすい。目的のための方法や手段が、すぐに目的化してしまう。それは彼らを取り巻く大人の社会が大きく起因していて、そのため彼らの感性は近視眼的な発想に陥りやすい悪しき傾向にある。今回を振り返り、そんな反省が僕にはあります。
 
その反省を踏まえ、これからの作品創りの指標としては、ASC15年間の「から騒ぎ」以降の中期、創立メンバーの菊地一浩・鈴木麻矢那智ゆかりさんらと、主に銀座みゆき館劇場で培ってきたこれまでのASCらしさを踏襲したうえで、さらに若手の生き生きとした瑞々しいエネルギーを十二分に活かしきるような作品を目指していきたいと考えています。
 
若者や子どもたちが、人生の目的や夢をしっかりとつかんで日々暮らしていけるために、大人ができることは何か。
まずは僕自身が、しっかりと人生を見つめなおすことから始めようと思っています。
今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。