打ち上がりました!

5月3日、「ヴェニスの商人」おかげさまで無事千秋楽を向かえました。ありがとうございました。上演を決めてから約1年、本格的な準備に入ったのが昨年11月くらいからか。今年に入ってからは、いつになく準備がすこぶる順調に進んでいることに喜びを感じるとともにそれゆえちょっと不安にもなったりした。そして、ハーフマラソン翌日の3月2日、顔合わせ&リハーサル初日、翌3日にはもう立ち稽古に入っていた。3月27日に第1回目の通し稽古、通し稽古は通算11回行ってリハーサルは完了。3泊4日の“ニューフィクション”合宿を経て三日間の舞台稽古ののち本番初日の4月25日。本番期間中は、どんどん芝居が進化していった。そのことを出演者全員が実感してくれていた。そして、千秋楽5月3日、喜びと爽快感の中打ち上がることができました。
 
こんなに笑いの絶えないカンパニーは初めてだった。リハーサル中はもちろんその休憩中も、必ず稽古場からは大爆笑が聞こえていた。「笑う角には福来る」をまさにみんな地でやっていた。「否定からは何も生まれない」、そんなことも強く実感した。どんなドジやムダもみんなで笑い飛ばし合う、そこに創造につながる大切な何かが在ることがはっきりと分かった。
もちろんまったく問題がなかったわけではない。若手の何人かはどうしても役づくりへの解決の糸口が見つからなくて悶々としていた時期もあった。配役交代という問題も浮上したりした。4月に入り肉親をなくした出演者もいた。またプライベートでの大きな試練を乗り越えた出演者も。みんなそれぞれ苦しんだ時期を経験した。
が、稽古場は明るかった。それがとても救いだったし、なによりそのことをみんなが心がけてくれた、そしてそのことで様々なことが解決の方向に向かっていったように僕には思えた。たとえば、役づくりに苦しんだ若手はある日突然びっくりするくらいの180度の変化を見せてくれた。自分のこともメンバーのことも全員が何一つあきらめることなく、最後の最後まで果てのない創造の高みを目指し続けてくれた。感謝。大感謝。今後の課題、それはもちろんある。そのことを言い訳や自己正当化することなくしっかりはっきり受け止めることができたのも、今回のカンパニーのおかげだ。
また口コミでどんどん増席、ほぼ連日満員御礼の観客席。評判も上々、劇評も出そうだ。カンパニーのよさが確実に観客にも伝わっている実感。
 
打ち上げ解散の5月4日の朝7時、快晴、最後の最後まで残ってくれていた若手と握手をして別れを惜しむ。そのときタニー(谷畑聡くん)が微笑みながらいってくれた言葉、「大成功ですね。」、嬉しかった、本当に。ほかのみんなも同感の顔。こんなに爽快な打ち上げの朝、30年近く東京でお芝居をやってきたが、もしかしたら初めてかもしれない。
 
ヴェニスの商人」にかかわってくださったすべての方々に、ウルトラスーパースペシャル大感謝! ありがとうございました!! 僕は毎日幸せでした。