合宿感想メールその4 日野聡子より 〜“あやのぎ塾”塾生〜

さらに【メール その3】に続く日野からの返信。
合宿の具体的感想に突入。
話が盛り上がってきました。
 
ところが、この【メール4】がほぼ仕上がったときアップする前にIEにエラー。
すべてが無駄になってしまった。
この記事は再度つくりなおしたもの。
くやし〜!
  
   
日野聡子より 2008.8.21 22:02(その3と同日)】
 
はい。
私も、今回の合宿では私でいるだけでしたが、一方で、
トアニ(東京アニメーター学院)では逆の立場になるわけだからどうしたらいいのだろう、
とも思っていました。
でも今回の彩乃木さんは私たちと一緒に同時進行で思考していて、
それでいいんだ、逆ではない、同時がいいんだと思いました。
確かにトアニでしゃべる時、私のリアルタイムの疑問を投げると、皆とても集中します。
興味があるし、楽しいんですね。
 
その時私は、何か生徒が少しでも「おぉっ」と思うことを言わなければと思ったりすることがあり、
そこに入ると途端に何言ってるか繋がりなくベラベラしゃべってしまいます。
たくさんの目が「先生はどう思いますか」と委ねてくる時、焦ります。
 
「良いことを言わなければ」という目標を設定しないことですよね。
でも人数が多いと興味を持っていない子も何人かいて、そうすると焦ったり、
イイ子ちゃん菌(長男長女特有の正義感を僕がそう命名した。日野も長女)が出てきます。
自分にだけ集中するからいけないのですね。
生徒からきっかけをもらえばいいのですね。
あと、自分の物差しと人の物差しは違うということも、これから見ていかなければと思っています。
 
私も昔のアニメ、検索してみます!パソコン買ってもらって(^_^)v
 
(ちなみに、日野の家族は昨年千葉から熊本に引っ越した。今月末、日野は帰省?する。
 そのとき彼女は、いま壊れかけているPCをお父さんに買ってもらおうと目論んでいる)
 
 
【僕からの返信 同日 22:40】
 
はは、昔のアニメはまあ時間のあるときにみてみて。
結構発見があって楽しめるよ。
それにお父さんに、アニメみるためにPC買って、なんて言えないしね(笑)
 
同時進行の思考を指導者がするっていうことは、とてもいいね。
僕もASCの2〜3年までは、イイ子ちゃん菌と責任者菌(代表者としてのプレッシャー)が強かった。
「オレが何とかしなきゃ」という意識が強烈だった。
なので、演出プランを考える作業が苦痛だったよ。
「いいプラン思いつかなかったらどうしよう」って不安が強かったなぁ。
 
で、1999「から騒ぎ」でかわった。
俳優を信用するってことがちょっと分かった。
ただ自分も役者だから、反面、役者はいい加減な生き物ということも知っている。
信用しきれなくて今日まで来ちゃったのかもなぁ、なんておもってる。
僕が演出オンリーだったらそのままいけたかもね。
 
でね、指導者がみんなと一緒に同時進行するっていうことは大切で、
さらに、もうひとつの要素をプラスしないとその大切なことができなくなるという発見があった。
俳優でありかつ指導者でもあり続けようとするよくばりな僕にとっては、
大きな発見と実感。
 
無意識の中にある自分のビジョン、その確信がとても重要だと思ったよ。
無意識の中にあるから科学のようにはっきりと証明できない。
でも確信と核心だけはあることを自分でも強く信じてる、自信はないけど。
そのことは明言できる。
それを伝えて、協力を仰ぐ、意識上にのぼらせる作業を一緒にやってもらうよう頼む。
 
それは、自分だけのその確信と核心をみんなのものにするためにね。
 
そんな姿勢が指導者には必要なんだね。
指導者が「未来に」確信と核心を持っているということが伝わりさえすれば、
みんなは一緒に思考してさらに楽しんでくれる。
みんなが楽しんでくれることがそのまま指導者の喜びになり、
確信と核心はどんどん意識上にのぼってくる。
喜ぶその指導者をみて、みんなの中にも確信と核心が芽生えてくる。
関係が、どんどん新鮮なものに転換されていく。濃密となる。
 
陥りやすい罠は、指導者が「過去に」いくら確信などを持っていても、
過去だけを伝える行為は、指導者にとっても生徒たちにとっても退屈なんだね。
関係が変化しないから。
寺山さん(寺山修司)がいうように、過去はストーリーであり、フィクション。
未来の新たな関係性における財産、財産だけどそれ以上のものじゃない。
その財産をどんなふうに応用し活用していくかをみんなで考える。
そのことが新たな関係に転換させ続ける大切な要素なんだね。
 
ともに未来に向かうことこそ、もっとも必要な心得だね。
そのときの道しるべが、リーダーの未来に向かっての確信なんだと思う。
 
指導者にとって未来への方向性がはっきりしてるとき、
つまり山の頂上が見えていなくてもそこにいたる道筋はつかんでいるとき、
そこにいたるまでの方法や手段の段階で分からなくなることがあったとしても、
そのまま正直に「オレもわからないなぁ」と言ってみんなの知恵を借りればいいだけなんだね。
そうすればみんなも、指導者から信頼されていると感じてくれるし、事実そうだ。
同時進行の思考って、つまりはそんな関係なんだ、きっと。
で、一緒に思考してるから、常に新しい関係に転換し続ける可能性を含んでる。
 
人は、いまある関係を新しい関係に転換し続ける、そのために生きている。(寺山修司
 
 
君にメールしてると、いろんなことが整理できてくる。
ありがとう。
 
これからブログ更新しよ〜と。
 
(この直後に、合宿の感想についてブログの更新を試みるがうまく行かず、
メールのやり取りをそのままアップすることを思いつく)
 
ところで話はぜんぜん変わるけど、
いまPCのある部屋のドアの向こうでは、トイレの便器がはずされその床の補修が始まってる。
ちょっとくさい。
(前述した自宅の改修工事のこと。合宿の翌朝から始まった)
現実と創造活動を隔てているのはドア一枚。
それでも現実の「くさいにおい」は忍び寄り、僕の創造活動を邪魔しようとする。
でもよく考えると、それら全体が、もうすでにひとつの劇的な状況とも言える。
しょうがない、においを楽しむか。
お、「改修を楽しめば」という君のアドバイスどおりになってる。サンキュ。
 
(合宿の翌朝から4日間もの改修工事が始まることが僕は憂鬱だった。
家族を旅行に出かけさせ、立ち合うのは僕一人。
そのことを合宿中にぼやいていたら日野が、「そのことも楽しんでみては」
と助言してくれていた)
 
 
【僕からの提案 翌2008.8.22 11:45】
 
合宿での感想を書こうと思ったんだけど、
ブログ用の文章にするよりも、君とのメールのやり取りをそのままアップした方がいいように思えてきたんだ。
どう?
君からのメールは私信だから、承諾なしには出来ないと思ったので、メールしました。
 
どうか許可を。
 
ちなみに、エリ(高尾枝理)からも君と前後してメールが来ていて、
彼女の場合は島根での活動に関しての相談などだけど、
それに対する僕の返信が、やはり合宿経験の影響が大きく反映してるので、
そのやり取りもあわせてアップしたいと思っています。
もちろん彼女にも承諾を得た上で。
 
このアイデア、たぶん一番率直に合宿でのことを伝えられる方法のような気がしてる。
 
かつ、メールのやり取りをアップして、それに関しての感想をさらにアップすることもできるかもしれない。
 
任せてくれない?
 
 
【日野からの返信 同日 12:00】
 
私もそう思っていたところです!
これをブログ上でやればよかったと。
でももしブログ上でやっていたらブログ用の文章にするために余計なことが入って
気持ちよく進めなかっただろうな、とも思っていました。
是非よろしくお願いします!
 
 
【僕からの返信 同日 12:01】
 
了解!!
さんきゅ!!!
 
(このあとすぐ、他の合宿参加者にも同様の承諾を得る)