バッキンガム考、その2。

小関先生から前々回の僕の書き込み【バッキンガム考。】にコメントを頂戴しましたので、
さらにもう少し、バッキンガムについての考察を。
 
小関先生へ。
 
僕は、リチャードを試すことはバッキンガムには可能である、と演じていて感じます。
その理由は、それだけバッキンガムの存在がリチャードにとって脅威だからです。
リチャードは、彼なくして王位につくことはあり得なかったのではないでしょうか。
だからこそ、リチャードもバッキンガムを試した。
また、褒賞を与えなかったのも、バッキンガムの力をこれ以上強大にしては危険だと、
リチャードが考えたからでしょう。
 
バッキンガムがリチャードを試す動機になった要因の一つに、
リッチモンド軍の動勢も大きく影響しています。
リチャードに対して、脅迫要素になるからです。
現に、あのシーンの後バッキンガムはリッチモンドと組みます。
 
褒章である亡きヘンリー王の莫大な財宝と領土さえ手に入れば、
実質上リチャードとほぼ同等の力をイングランドで得ることができる。
そうなればリチャードのことも、さほど恐れる必要はない。
バッキンガムはそう考えたのではないでしょうか。
反旗を翻すことを前提に、そしてそのことをあからさまにして、
だからこそ、臣下が国王を試すことができたのではないでしょうか。
 
王子のことは、二の次ですね。
地位さえ確立すれば、王子のことはどのように処理することもできるはず。
殺さなくても、リチャードは安易にバッキンガムに抵抗できないからです。
力のないあの時点でリチャードの要求どおり王子殺害を行えば、
次の犠牲者はいずれ自分であることは明白。
 
リチャードもきっと、王子殺害は第一義の目的ではなかったのでしょうね。
「ああ、あれはもういい。」と言ってるし。
小関先生のおっしゃるように、互いに試しあう場面ですね。実にスリリング。
 
王位についたとたん、リチャードは不安になる。眠れない。
アンは毎晩その傍で、うなされるリチャードを目撃している。
アンも眠ってはいない。
アンの予言も、見事に的中、自分に対して。
 
リチャードの望んだもの、それはやはり、権力ではなかった。
2000年のASC公演のときには、母親との関係を大きくクローズアップして、
その問いかけの答えを探ってみました。
やはり人間に必要なのは、「愛」ですよ。
 
「俺を愛するものは一人もいない。。。。」