できることは、もちもとやりたいこと。やってきたこと。


 
先日観たある劇団の研究生の自主公演、
実にすばらしいものだった。
愉快だった。感動した。
若者たちの汗は、いつ見てもいい。
 
が、ひとつ気になったことがある。
その自主公演は基本的に無料、御代は見てのお帰り、
とのことだった。
カーテンコールの最後に受付の女の子が一言。
「御代の一部は、被災地に募金します。」
この一言に、考えさせられた。
募金は必要ないんじゃないか?
 
若者の自主公演、
「持ち出し」じゃないわけがない。
みんなバイトしながらぎりぎりの経済状態でやっているはず。
が、お足をいただくほどのレベルではない、との自己判断から
チケット代は無料にしたんだと思う。
でもやっぱりお金は欲しい。苦しいもんな。
そこで「御代は見てのお帰り」となったわけだ。
だが、この御代自体が将来ある彼らへの募金のようなものだ。
募金が別の募金(震災の)に回る不思議さ。
「若い僕らに、エールの募金を!」
のほうがよくないか?
彼らの熱い汗だけで、生きる喜びを感じることができた。
いまの日本で最も大切な感覚だ。
 
そんなことを思ったら、震災直後の演劇人たちのあわて方を思い出した。
もちろん自分も含めて変にあわてていた。
演劇の意義を声高に訴えていた。
 
無理に何かを付け加えなくてもいい。
演劇人は、真摯に演劇をやり続ければいい。
最後の一人まで捜索を続けると決意したある消防団長のように、
微力を知った上での力強さ、底力を持ちたい。