連載「優しい想像力」。
朝のキッズガードのとき、
ときどきとても悲しい気持ちになる。
そんな出来事に遭遇すると、一瞬気持ちが萎える。
たとえば、
一番危険な狭い一方通行路、通勤チャリは両方向からくるグリーンゾーンで。
その入り口にコンビニがある。
そこに車が立ち寄る、その目の前の歩道に駐車するアホがいる。
子どもたちの歩道だ。
子どもたちが車道にあふれ出す。
危険。
そこで車が止まるたびに注意する。
気が付いて移動してくれる人もいれば、
文句を言うアホもいる。「すぐだから!」
あるいは、無言で再び車に乗り込み、
駐車スペースを案内したにもかかわらず買物せずに走り去る。
こちらの言い方がよくないのかと反省もする、
笑顔お願いモードのつもりなのだがなぁ。
たとえば、その2、
子どもたちの流れの中で一緒に歩きながら、平気で歩きタバコ。
信号待ちでもタバコ。
チャリンコタバコ。
危険この上ない。
開いた口がふさがらない、そこに煙が入り込む。
もちろん注意。
たとえば、その3、
信号無視の大人たち。
交通ルールを守らないのは、子どもたちではなく大人たちのほうだ。
子どもたちの前でも平気でやる。
この前は、PTAのお母さんが自分の子ども(6年生)と歩きながら、
ほかの子どもたちの目の前で堂々と。
僕の目を気にした子どものほうが、お母さんに小声で注意してる始末。
そのお母さん、当番制でキッズガードで立ってくれている別のお母さんと立ち話。
子どもが先に一人で僕の前を通り過ぎた。
「おはよう。偉かったな。」と声をかけた。
で当のカアチャン、立ち話のあと僕の前を通り過ぎる時、笑顔で僕にご挨拶。で、僕も、
「おはようござます。信号は守って横断歩道をお願いします。」
「わ・か・り・ま・し・た」と真顔で妙に滑舌よくお返事してくれた。
たとえば、その4、
わが子の前でも挨拶できない母親。
小学生の登校に交じって、幼稚園バスに乗るための母子も何組か通り過ぎていく。
お母さんに手を引かれた幼稚園児は、元気に僕に挨拶してくれる。
もちろん僕も返す。そしてお母さんにも「おはようございます!」。
お母さん「・・・・・」
無視?
あっけにとられるでしょ。
そんなに僕の言い方が悪い?
いろいろ工夫してみているが、いまだにはっきり返してくれない。
恥ずかしがり屋さんなのか。
どうもそうのようだが、一緒にいる自分の子どもにとってそれはいいのか、
よく考えて、その子が元気に挨拶してくれているいまのうちに。
たとえば、その5、(これで最後にする)
その幼稚園バスの見送りのお母さん方のうち、こんな人たちがいるのがちょっと困る。
バスは小学校の前に来る。そこで乗せて、お母さんたちはまたもどってくる。
その時再びグリーンゾーンを通るわけだが、
今度はお母さんがかたまりで通り過ぎていくことになる。
そして、まだ登校してくる小学生との対面通行となる。
横3列で迫ってくるママ軍団を子どもたちが迂回する、車道側に膨らんで!
ママ軍団は気が付かない、歩き井戸端会議で気が付いていない、としか僕には見えない。
それとも車が来ていないからいいと思っているのか。
たとえ危険がなくても、
後方確認もせず車道に出て迂回することを、子どもたちが体で覚えてしまうのは問題。
もちろんママさん軍団にも注意を促しはするのだが・・・
自分の子どもをバスに乗せて、ほっとしっちゃった。
自分の子どもさえよければいいのか、いやまて、
自分の子どもさえ殺してしまう親たちがいる昨今、
自分の子どもを毎日ちゃんと送り迎えしてくれるだけでもありがたいではないか。
などと、そんなことを考えたりして、朝が終わる。
悲しい大人たちに遭遇すると、自己嫌悪に陥る。
自分も普段、その大人たちと似たり寄ったりのことをしている、その自覚があるからだ。
忘れる。
大人になると、抱える事情によって、
あたりまえの大切なことを忘れる。
★★★★★★★
そんな時、嬉しいこともある。
朝、悲しい大人たちに注意を奪われかつ落ち込んでいるとき、
そんな僕の背中に向かって挨拶してくれる子どもがいる!
振り向くと、これまであまり積極的に挨拶してくれなかった子だ。
そういうときは、なんともほのぼのと、嬉しい。
大人には、必ず事情がある。
が、その事情の犠牲に子どもたちがなってはならない。
大人の身勝手で、子どもの命を悲しませてはいけないのだ。
★★★★★★★
僕が尊敬する作家に、田中浩司さんがいる。
知る人ぞ知る、寺山修司さんの最後の愛弟子。
ポンキッキやサンリオピューロランドでも活躍。
“子供のためのシェイクスピアカンパニー”が安定期に入るまで
第1回目から構成・台本を担当してもらった、とてもお世話になった兄貴。
“ニューフィクション”という言葉をいただいた人。
その田中さんのブログに、「優しい想像力」という連載がある。
現在第4回目。
皆さん、ぜひご覧ください。
「お耳の恋人ハートのジェイの王様の耳はロバの耳」
http://ameblo.jp/heartnoj/
★★★★★★★
写真タイトル「Dio5 男の友情」。