演技は強い味方。


 
励ます。
人を本当に励ますのは、実はむずかしい。
深く落ち込んでいる人に対しては、
全力であたっても無力のときも多々。
全力が無力って、こっちも相当へこむ。
 
ちょっと待て。
たとえ全身全霊、全力だったとしても
所詮はちっぽけな自分、たかがおのれの人生の範囲内。
相手だって、全人生をかけて悩んでいる。
太刀打ちできないのも無理はない。
 
だから、演じたいんだ。
「役」という強い味方、頼れる相棒がほしくなる。
 
400年以上も語り継がれた、
すこぶる強さ、鍛え抜かれた生涯。
シェイクスピアの登場人物の生命力は、ほとんど神か。
僕などとは比べものにならない。
 
その「役」の超人パワーを借りたくなる。
超人スーツが着たくなる。
それが、演じるということか。
でもって、人を「励ます」のだ。
 
小さな自分では無理なことが、
「役」を通せばできるように感じる。
自分のこと、人としての力量がわかればわかるほど、
演劇は、僕の人生と切り離せなくなってくる。 
 
つまりは、
「役」によって
まず自分が励まされているわけか。
 
名優エドマンド・キーンが確かこんなことを言っていた。
「演じていなければ、私は気が狂う。」
とてもおこがましいが、
その心持ち、わかる。
 
「役」の超人スーツを着こなしたい。
そのための訓練。
初心にもどり精進だな。
 
※写真は、僕。23歳頃の。初々しい!