報われない?

実力があるのに、報われない。
 
これ役者同士でたまに出る話題。
この話題のはじまりは、たいていそこにいない別の俳優さんのこと。
が、会話の当事者たちは、この話題の間、ずっと自分のことを考えている。
 
「オレも(ワタシも)そうだよなぁ・・・」
 
実力があるのに、ということが本人たちの誇り。そして、口実。
真の実力とは何か、ということは別として、かつここでは
仮に演技の上での実力は確かにあるとして、
なぜ報われないかを考察してみる。
 
う〜ん、やり方が悪い。
別の言い方をすれば、人との付き合い方が悪い、あるいは下手。
つまりは、人間関係をうまく取り結べない。
大げさに言えば、生き方がうまくいっていない。
 
だいたいにおいて、
人とのコミュニケーションのとり方がかなり苦手なヤツほど、
役者稼業を目指したりする。
理由は、何とか自分のウィークポイントを克服したいから。
で、俳優修行に寝食忘れ打ち込むわけだ。
で、その成果として、演技力が身につく。
舞台の上では、人と人とのコミュニケーションというものを理解できるようになる。
濃密で理想的な人との絡み方が、分かってきたように思う。それをみた観客の評判もいい。
やった〜!ッてなわけだ。目的達成。 
 
と思いきや、やはりそれは舞台の上に限っての話しだったりするのだ。
実生活では、ほとんど変わってない。
その事実を思い知らされたとき、結構愕然とする。
「オレ、なにやってたんだろう!?」
 
舞台は、あくまで虚構。フィクション。
フィクションの上でよりよい人間関係が構築できたとしても、
その人間関係もやはりフィクション。眉唾もの。
現実的には「オレ、変わってないじゃん?!」
 
「変わりたいよぉ〜、普段でもちゃんと人と仲良ししたいよぉ〜」
ということで、さらに演劇という虚構世界で修行を積むことになる。
だから芝居をやめられない、足を洗えない。
 
実力があるのに今ひとつ報われない役者さんたち、
実はみんなこんな人だったりするんじゃないかな。
実力の有無は観客の評価にゆだねるとして、
こんなことをいっている自分の耳も、かなり痛い。
 
俳優の真の実力とは、
円滑な人間関係を営むことのできる豊かな人間性をも含まれるのではないか。
せめて豊かな人間性を飽くことなく追求する姿勢こそ、
己に真摯に問い続けなくちゃいけないんだ、と思う。
 
でもなかなかそうはなれない、とも思う。
だから名優は、変人なんだな。
だからといって、変人を目指せば名優になれるというものでもない。
そこには舞台という虚構世界でより良く生きる術としての
俳優修行にいそしむ姿勢を忘れてはならない。
だからやっぱり芝居をやめられない、足を洗えない。
 
う〜〜〜〜ん。。。 ぐるぐるぐる。
報われない???