チラシ掲載コメントです。

新生ASCと創造空間“川崎ファクトリー”
男優限定チームと男女混成チームの競演

  
抜本的改革をスローガンにおいた創立10周年の昨年、その成果やいかに?
11年目の新生ASCが贈る作品は、シェイクスピア屈指の異色作、極端なまでの愛憎残酷復讐劇「タイタス・アンドロニカス」。
上演会場は、川崎の工業地帯のど真ん中で、これまた異色独特独自の芸術活動を繰り広げる、知る人ぞ知る創造空間“川崎ファクトリー”。
思えば、世界各地のアートのメッカはもともとは工業都市。2004年ミューザ川崎シンフォニーホール開館が象徴するように、川崎駅前も今まさに芸術の街に変貌しようとしている。賑やかなその駅前から一歩入り込んだ浜川崎、本物の臨海工業地帯。アクセスの便は少々悪いが、その町はタイムスリップしたかのような異空間。初めての場所なのに、なぜか懐かしい。そして、町中のあちこちにポップな壁画が。毎年秋4ヶ月間にもわたる「かわさき現代彫刻展」のなせる技。もちろん川崎ファクトリーも、このイベントに深く関係している。
オーナーの渡辺治氏のご好意により、7週間にわたるリハーサルを同会場にて行うことが決定した。ここしばらくホームグランドのように親しみなじんだ銀座みゆき館劇場を離れるのは少々寂しいが、新生にふさわしくあらゆる実験が可能となった。楽しみ!
(川崎ファクトリーだからこそ実現できる毎日の交流会、こちらももっと楽しみ!!)
 
さらに今回、またまた2つのチームを編成。
すべての役を男優のみで演じる男優限定チームと、「え〜、こんな役を女性がやるの?」なんて配役もある男女混成チーム。キャスティングしていてとても楽しかった。リハーサルや本番は、さらにエキサイティングになることは必至。こちらもぜひお楽しみに!
 
俳優である自己の血を介して、暴力性と残忍性の極地を体感する。
究極の残酷を探求しそれを「美」に至るまで昇華させ、人間の尊厳を問う。
これが今回目指すべき作品創りのコンセプト。
残酷劇だからといって決してグロにはいたしません。ASCらしくあくまで美しくやります。
皆様、どうぞご安心を。

 
(あやのぎたかゆき)