明かりが落ちたッ!!

お蔭様で、ASC第34回公演/“4人の俳優で四大悲劇を”シリーズ決定版
「オセロー」は、5日無事千秋楽を迎えることができました。
本当にありがとうございました。
 
今回の公演、新しい挑戦の連続で、様々な予期せぬことがありました。
 
まずは、リハーサルの進め方。
これまでは比較的早い時期に、大まかな動きのプランを僕が考え、それを出演者に伝え、
リハーサル期間前半では代役による稽古を進めてきました。
後半で僕が役者として参加し、仕上げていくといった手法をとっていました。
が、今回は、
4人チームの場合は、まず最初から僕も役者として参加。
動きのプランも、それぞれの出演者がまず動きたいように動く。
その際、作品解釈や役の動機に関しては、必要に応じてディスカッションしていく。
おまけに、作品の後半3幕から、2組の夫婦が中心となっていく場面から創りました。
1幕などが一番最後に出来上がりました。
そして最後の最後まで、はっきりとした決め事は極力しませんでした。
 
新人チームも同様です。
そして、こちらのほうがすさまじかった。
僕は率先しては動きを付けなかった。
なので、稽古がホントに牛歩。
徳丸などは、一つの質問に答えるのになんと25分も費やした。
当初は、上演したものとは全く異なったイメージの動き。
いわゆる、体育会系!
一言で言えば、ちょっと言葉が悪いけど、
「どこかの小劇場で昔みたことある」ってなタイプのヤツ。
5幕あるうち2幕まで出来上がったとき、急に新人チームのみんなが
このままではいやだと言い始めた。
「はじめから創り直したい」と。
急遽ミーティング。
その時もうすでに、5月4日。リハーサル開始から3週間、ちょうど折り返し地点。
2チームあるから、実質は10日間程しかない。半分もできていない。
「はじめから創り直し」派と「先に進むべき」派に分かれる。
その時、新人チームに友情出演してくれていた藤田三三三さんが、一言。
 
「『急がば、廻れ』だよ、みんな」
 
新人チームは、このとき一つになった気がする。
最初から創り直し。
とはいっても、やはり稽古は遅々たる歩み。
最後の幕が出来上がったのは、リハ最終日の前日。
もうすでに、小返し稽古をやる時間もない。
リハ最終日の通し稽古もいい出来とはいえない。
 
なぜ、こんなにリスクの高い稽古をあえてやったのか。
それは、みんなに考えて欲しかったから。
自主的に自分で考えて欲しかった。
結果からすると、やはり今回のやり方のほうがいい、断然。
なぜかというと、自分の演技により責任をもてるからだ。
自分で考え出したプランは、自分のもの。
その成否がはっきりと自分に跳ね返ってくる。
そして何より、本番の舞台の上で大きな存在感に昇華する可能性が、大。
 
『そこに、いるということ。』
 
これが今回の、演技の上でのコンセプトだった。
そこにいるためには、常に自分で考える。
人の心を捉えてはなさない演技とは、そこに確実に『人がいる』ということに他ならない。
 
新人チームにとっては、あせりの極地の5月12日、
稽古場レインボースタジオのオーナー、女優の井口恭子さんによるワークショップを実施。
井口さんのご好意である。
が実際、一日稽古をつぶしてのワークショップ実施に対して、不満を持つものも少なからずいたようだ。
「ワークショップより、稽古したほうがいい!」
 
しかしワークショップ終了後、不満をもらすものは一人もいなかった。
まさに、今回のコンセプト、『そこに、いる』ということがテーマだったからだ。
井口さんのワークショップがどれだけ新人チームの力となったか。
この場を借りて、厚く御礼を申し上げます。
 
で、予想外のことが沢山あった今回の「オセロー」。
その最たる出来事が、今日のタイトル「明かりが落ちたッ!」ですが、
今日は長くなってしまったので、次回に。
 
実はすでにこのハプニングは、
僕の尊敬する先輩で作家の田中浩司さんのmixi日記にアップされてます。
mixiをご覧になれる方は、ぜひどうぞ。
観客席から暖かな目でこのハプニングを書いてくださってます。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=452917551&owner_id=10110778
田中さん、ありがとうございます。
mixiをご利用でない方へは、次回このブログで
主催者側の僕からご説明します。