*[演技とは][ヴェニスの商人][“ニューフィクション”]若手がいい。その2
ではでは前回に引き続き、今回の若手のよさを。
 
● 秋山裕司くん
2年ちょっと前の2006年、その年の春・夏・秋と故郷鳥取県の高校生などの若手の指導をやった。「不届千萬忠臣蔵」という舞台で主演した。そのとき高校生だった彼は、今年の春工学院の演劇科を卒業した。
ヴェニスの商人」のリハーサル期間中、たった1ヵ月半の間に物事に対する考え方を大きく変え、見違えるように成長した。その変貌ぶりには驚いた。若いって、いい。
この5月、“あやのぎ塾”入塾。向こう3年間、塾生として訓練するとのこと。ありがとう。
 
●真鍋良彦くん 
今年3月、東京アナウンス学院を卒業した。彼も若い。そして彼は、とても芯が強い。一見気弱そうにも見えるが、いやいや内実はその反対。それに彼は、視点の持ち方・視野が広い。演技プラン・アイデアがそのお芝居全体を通してドラマとつながるものを持ってきてくれたりする。もしかしたら、演出的な創造作業に向いているのでは、と最近思っている。彼に何か頼むと、とても安心。
彼も5月から“あやのぎ塾”。嬉しい。
 
日野聡
彼女も変わった。僕はそこが嬉しい。彼女がASCの門をたたいてすでに5年となる。その間、なかなか優等生的な演技から抜け出せないで、彼女ももがき僕も指導を苦しんだ。が、今回は一皮むけたのではないかと思う。舞台の上でどうなふうに意志でもって自由でいられるのか、それがどれほど大変でかつ楽しいものであるのかを体得しつつある。
いい芝居をするときの、その前の休憩時間など彼女は最近結構ぼ〜としている。フワ〜といる。それを目撃したとき、僕は嬉しい。いい芝居って、そんな状態のときに生まれるものだ。
 
● 大西伸子
大西も変わったなぁ。これはマラソン効果なのかもしれない。昨年秋、“あやのぎ塾”レッスンの一環として、大西にとっては無理やりエントリーさせられた感のあるハーフマラソン。それが大西の考え方を大きく変えたようだ。足を前に一歩ずつ出しさえすれば、トップランナーと同じゴールにたどり着ける。
今回のリハーサル、大西はみんなのアイドルだった。よくみんなを大笑いさせてくれていた。その資質、それを芝居にももっと活かすことができれば無敵だ。
 
● 荒井真鈴ちゃん
彼女の魅力については、以前に書いた。
それ以後の新たな発見。彼女は結構マヌケである。自分ではカッコいいつもりで行動しているようだが、観察していると間が抜けている。笑える。憎めない。小動物のようだ。何をしでかすか分からない(笑)。 芝居中、僕の左ひざの上に座る演技があるのだが、平気で右に座ったりする。行きあたりばったり。
彼女は自由なんだと思う。それが彼女を魅力的にしている要因。身体に6カ国の血が流れている、その由縁か。かなわない。
 
連日満席でありがたい。
が、なぜか明日5月2日(土)の夜だけが少々薄い。お待ちしてます。